脳動脈瘤

脳動脈瘤

くも膜下出血 脳動脈瘤
破裂脳動脈瘤 未破裂脳動脈瘤
脳動脈瘤に対する治療法
開頭手術(クリッピング術) 血管内手術(コイル塞栓術)
ハイブリッド手術室について

くも膜下出血

脳は、くも膜という透明な膜で包まれています。血管が破裂し、脳とくも膜の間のスペース(くも膜下腔といいます)に出血が広がることをくも膜下出血といいます。くも膜下出血は、ほとんどの場合、脳動脈瘤の破裂によって起こります。一旦、くも膜下出血を起こすと、重い後遺症を残す場合や死亡する場合も多く20~30%程度の方しか社会復帰できないという厳しい病気です。

脳動脈瘤

脳動脈瘤とは、脳の動脈の一部が膨らんだ状態で、 「こぶ」のようになっているものです。破裂するとくも膜下出血を起こします。脳動脈瘤が、まわりの脳の神経などを圧迫して症状が起こることもありますが、ほとんどの場合は、破裂するまで何も症状が出ません。
破裂脳動脈瘤と未破裂脳動脈瘤があります。

破裂脳動脈瘤

破裂を起こした脳動脈瘤のことであり、くも膜下出血を発症した状態です。脳動脈瘤から出血し、しばらくするとかさぶたができて出血は止まります。しかし、一度、脳動脈瘤に穴が開いてしまっていますので、約半数が再破裂を起こします。再破裂は、くも膜下出血を発症してから24時間以内に多く、再破裂を起こせばさらに死亡や重い後遺症が残る可能性が高くなります。早急に手術が必要です。

未破裂脳動脈瘤

まだ破裂を起こしていない脳動脈瘤です。40歳以上の3~5%の人に未破裂脳動脈瘤がみつかるといわれています。脳ドックや、脳動脈瘤が神経を圧迫することにより出てくる症状から発見される場合があります。一般的に未破裂脳動脈瘤が破裂する可能性は、年間に1%程度といわれています。しかし、動脈瘤の大きさ、場所、形、また、血縁の方にくも膜下出血になった方がいるかどうか、などによって破裂する可能性は異なります。破裂する可能性が高い場合には、破裂を防止するために手術をすることがあります。破裂を予防するのに有効な薬はありません。

 

脳動脈瘤に対する治療法

開頭手術(クリッピング術)

開頭して、脳動脈瘤の根元にクリップをかけ脳動脈瘤へ血流が入らないようにします。

開頭手術(クリッピング術)1 開頭手術(クリッピング術)2
3D-CTA検査で、手術の予想図が作成できます。
右図は、動脈瘤の部分を拡大したものです。
開頭手術(クリッピング術)3 開頭手術(クリッピング術)4
手術の際の写真です。
動脈瘤(矢印)の根元にクリップをかけました。
開頭手術(クリッピング術)5

【クリップをかける前】

開頭手術(クリッピング術)6

【クリップをかけた後】

手術中に、血流の状態をみることができます。(術中蛍光造影)
動脈瘤(矢印)には、血流が入らなくなり、正常な動脈には血流が
しっかりと残っていることが確認できます。

その他、全身麻酔で眠った状態でも、脳を電気刺激することによって、反応を調べ、手足の動きが問題ないかどうか確認しながら手術を行います。(運動誘発電位という方法です。)

一般的に、重大な合併症(手術で起こる悪い結果)のひとつとして、脳動脈瘤にクリップをかけることで正常な血管が細くなり、脳梗塞を起こすことがあります。脳梗塞を起こすと、半身麻痺、言語障害などの後遺症が残ることがあります。当院では蛍光血管造影や運動誘発電位を導入しており、合併症が起こらないように十分配慮しています。

血管内手術(コイル塞栓術)

頭を切ることなく、足の付け根などから管を入れ、脳動脈瘤にコイル(金属でできた糸のようなもの)を詰めます。カテーテルを使った手術です。

血管内手術(コイル塞栓術)
コイルを詰めて、脳動脈瘤の中に血流が行かなくなりました。

開頭手術に比べて患者さんの肉体的負担が少なく、高齢者の方や、他のさまざまな病気をもつ患者さんにも行える手術です。

患者さんによって、開頭手術が適する場合もあれば、血管内手術が適する場合もあります。

ハイブリッド手術室について

血管内手術を行うためには、血管造影装置が必要です。これまで血管造影装置は、手術室から離れた血管造影室に設置してあることが一般的でした。当院では、手術室にも血管造影装置を備えた、いわゆるハイブリッド手術室を導入しております。手術室で、開頭手術はもちろんのこと、血管内手術も行っています。必要に応じて、開頭手術と血管内手術を組み合わせた治療を行うことも可能です。

 

 

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