痙性麻痺

痙性麻痺

脳や脊髄の病気のために手足が固くなってしまう状態を痙縮といいます。筋緊張が異常亢進した状態で、患者さんにとってはとても苦痛を伴うものですし、筋緊張がひどいと十分な睡眠がとれなかったり、痛みがあったり、呼吸が十分できなかったりすることもあります。介護をする家族にとっても衣服交換・オムツ交換も大変しづらい状況になります。

痙縮の治療について

① 内服薬

筋緊張緩和薬の内服があります。数種類の薬剤を使い分けて治療します。ただし量が増えてくると眠気がさすなどの副作用が出ることもあります。

② ボツリヌス毒素局所注入療法

筋肉に注射をする方法です。3-4か月で効果が減弱するので1年に数回の治療を要します。頸部・上肢・尖足など局所的に痙縮が発現している場合には有効です。当院ではリハビリテーション科にて施注を行っています。

③ 整形外科的腱切断術

手術で筋肉を切って緩める方法です。(当院ではおこなっていません)

④ ITB療法

ITB療法はバクロフェンという成分を脊髄腔に投与することで筋緊張を緩和するものです。内服薬にもバクロフェンはありますが、脊髄に直接効果をさせるため投与量が少なくてすむために眠気などの副作用が出にくいという良い面があります。腹部にポンプの埋め込みを行って治療します。広範囲に痙縮がある場合で、上肢よりも下肢の筋緊張を取るのに有効です。

ITB療法の段取り

スクリーニング

まずバクロフェン(ギャバロン)が効くのかどうかをテストして確かめます。効果は一時的なことが多く1-2日でもとに戻ります。テストで有効であることが確かめられたら、手術の対象と考えます。当院では小児科に入院して行います。

手術

手術は全身麻酔で横向きに寝て行います。おなかにポンプを埋め込んでそこから皮下にある細い管(カテーテル)を通って背中から脊髄の周りに薬が到達するようにします。背中とおなかに手術創がつきます。

メインテナンス

プログラマーという機械で皮膚の上からポンプから出る薬の投与量を調整することができます。外来で患者さんに最適な投与量を探っていきます。バクロフェンの薬効は約3-4か月で減少します。3-4か月に1度はポンプ内の薬液の交換が必要です。おなかのポンプの上から針で刺してお薬を入れ替えます。
ポンプの電池の寿命は約5-6年間です。ポンプ本体の入れ替えが必要です。この手術をした後、ポンプは金属ですがMR検査をすることは可能です。

 

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