患者さんへ

受診される皆様へ

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佐賀大学医学部附属病院の病院理念は「患者・医師に選ばれる病院を目指して」であり、「地域医療への貢献」「良き医療人の養成」「高度医療技術の開発研究」の3つを病院目標として掲げています。

脳神経外科は人間の生命や神経機能に大きく関連する臓器である脳、脊髄の疾患を対象とします。神経系疾患の予防、診断、救急対応、手術を含む様々な治療、術後管理、長期予後管理など、患者さんに対し一貫して責任を持っている診療科です。脳神経外科の領域も日々、進歩し発展しているため、深い知識と高度な技術が要求されます。私たちは広く確かな知識を得るよう努力を重ね、ひとりひとりの患者さんにとって最も安全・確実で有効は方法をえらんで治療にあたっております。

対象となる疾患は 救急疾患(頭部外傷)、脳血管障害(脳卒中など)、脳腫瘍脊椎・脊髄疾患(変形性脊椎症、脊髄腫瘍)、先天奇形、機能的疾患(三叉神経痛片側顔面痙攣、正常圧水頭症)、炎症性疾患(脳膿瘍、脳炎)などです。

ここにあげますような症状がありましたら、脳・脊髄疾患の可能性がありますのでご参照ください。

意外な脳の症状

1)頭痛
 意外な脳の症状1 手足の麻痺など他の症状を伴わない頭痛の大半は心配のいらない「頭痛持ちの頭痛」です。偏頭痛、筋緊張性頭痛や後頭神経痛と呼ばれるもので頭蓋骨の外の血管、筋肉や神経の痛みが原因です。しかし時に命に関わる恐ろしい頭痛もありますのでそれらとの区別が大切です。命に関わる危ない頭痛の一番は、脳動脈瘤(血管のこぶ)が破裂して起こすくも膜下出血です。今まで経験したことがない激しい頭痛が突然おこった時は、必ず脳神経外科を受診して下さい。
2)手足の麻痺、歩行障害、一過性脱力発作
 意外な脳の症状2 手足がほぼ完全に麻痺し動かせなくなれば、脳がやられたのではとどなたでも思われると思います。しかし、このようになる前に前兆があることも多く、前兆の段階で治療を受けると手足の麻痺を回避できたり、重篤になるはずのところを軽症ですませることができます。前兆の代表は一過性脱力発作です。これは、数十秒から数分間手足に力がはいなくなり、また元に戻るような状態です。脳血管が狭くなり脳血流が不足していますとの知らせです。足の力が抜けると歩行困難を感じますし、スリッパがぬけやすくなります。手の力が抜けると箸などを手から落とすようになります。さらに右手足の麻痺に言語障害が同時にあれば左の大脳半球になにかが起こっていることを意味します。子供に多い(脳の血管の病気)であるもやもや病は、泣いたときおこる一瞬の手足の麻痺をみつけ早期治療することが重要ですが、子供が一過性脱力発作を起こしても周囲の大人には何が起こったのか判らず診断がしばしば遅れます。一過性脱力発作は脳梗塞の重要な前ぶれですので、急いで脳神経外科を受診して下さい。
3)言語障害
 意外な脳の症状3 物が言えない程のひどい言語障害はすぐ気づかれますが、口がまめりにくい、物の名前が出てこない等の軽い障害は見過ごされがちです。歳をとると当然、老化現象として人の名前がしばしば出てこないことがありますが、「時計」「ペン」などの簡単な物の名前が出てこなかったり、右、左を間違えたり、簡単な計算(100-7=93)などが出来なくなれば、脳の言語中枢が傷害されていることを疑わなければなりません。
4)めまい、ふらつき
 意外な脳の症状4 色々な病気、例えば貧血や耳の病気でもめまい・ふらつきがありますが、小さな脳梗塞や小脳の病気もめまい・ふらつきで発症しますので、検査で区別する必要があります。
5)目の症状(視力低下、視野障害、複視、眼瞼下垂など)
 意外な脳の症状5 見ることは、眼を通して行っていますが脳で見ていると言っても過言ではありません。眼球で捉えた影像を視神経が大脳半球へ伝えて初めて”見ている”のです。ですから、物が見えにくいなどの眼科的症状も時に脳の障害で生じます。物が見えにくい内容には、視力の低下、見える範囲つまり視野の障害、物が二つに見える複視やまぶたが下がる眼瞼下垂があります。片側の視神経が腫瘍などで障害されれば視力低下が来ます。また、視機能に関与する部位の大脳半球が侵されると視野が一部欠けます。例えば、右の視野が障害されると右から来る自動車や自転車が見にくいと感じます。物が二つに見える複視は、左右眼球の運動を司っている脳神経の障害で生じます。あるいは、視力は問題がないのに片側の瞼が下がって見づらいこともあります。このような眼瞼下垂がおこる原因として、神経が脳動脈瘤(血管のこぶ)で圧迫されていることがあります。しかもこれは、こぶが大きくなり破れる前ぶれなので、出来るだけ早く脳神経外科を受診してください。
6)顔面の症状(顔の痛み、麻痺や痙攣ピクツキ)
 意外な脳の症状6 顔の感覚を支配しているのは三叉神経で、運動を司るのが顔面神経です。三叉神経がやられますと、顔が痛んだり、顔の感じがおかしくなります。 顔面神経がやられると、顔が麻痺したり、けいれん(ピクピク動く)がおこります。
7)耳の症状(耳鳴り、難聴)
 意外な脳の症状7 耳鳴り、難聴も脳の病気で生じます。代表的なのは、聴神経に発生する聴神経腫瘍です。この腫瘍が小さいときには、脳の検査、MRI検査をしないとみつかりません。耳鳴り、難聴の大多数は老化など別の原因ですが、一度はMRI検査で腫瘍がないことを確認されることをお勧め致します。
8)内分泌障害による症状(無月経、不妊)
 意外な脳の症状8 脳の病気でも月経がなくなることがあります。これは、下垂体という場所で脳がホルモン分泌の支配をしているからです。不妊などで悩まれる方の中に、下垂体にホルモンを作る良性の腫瘍ができ、そのため無月経になっている場合があります。現在では、ホルモンの分泌をコントロール出来る良い薬もあり妊娠が可能となる場合も多々あります。