良性腫瘍
良性腫瘍の治療に関して
当科では主に髄膜腫および神経鞘腫の治療に力を入れています。
髄膜腫(特に頭蓋底部)
髄膜腫は脳を覆っている硬膜という組織から発生する良性腫瘍です。脳表にできたものは摘出が容易ですが、脳深部(特に頭蓋底部)にできたものは脳実質や神経、血管を巻き込みながら腫瘍が存在しているので摘出は困難です。当科では術中ナビゲーションシステムや各種生理モニターを使用しながら安全かつ効率的な手術を行っています。
症例1)65歳男性、頭蓋底部巨大髄膜腫、外科手術のみ
術前/術後腫瘍は全摘出された。
症例2)31歳女性、頭蓋底部巨大髄膜腫、外科手術+放射線治療
術前/術後
神経鞘腫
神経鞘腫は神経の外側を覆っている膜(鞘:さや)から発生する腫瘍で、多くは軟部組織の末梢神経から発生します。中枢神経系では、大部分が第8脳神経(聴神経)より発生し難聴や小脳失調、水頭症などの原因となります。まれに第5脳神経(三叉神経)やその他の脳神経にも発生します。良性腫瘍ですから、完全に切除できれば再発はありません。しかし、頭蓋内神経鞘腫は小さい病変であれば摘出が可能ですが、大きな病変となり、脳神経や血管、脳を巻き込むようになると手術で完全に摘出することは困難となります。外科的切除のほかに放射線治療も行われています。予後は良好ですが、神経の機能障害が残ることがあります。
症例1)52歳女性 左聴神経鞘腫、外科治療のみ 術前MRI
手術所見
内耳孔内の腫瘍摘出 顔面神経の温存
術後MRI、顔面神経麻痺なし。
手術方向 手術で予想される病変部位
手術(体位および皮膚切開)、ナビゲーションシステムの使用
実際の手術
術前/術後、腫瘍は大部分が摘出されています。
術後患者さん
症例3)31歳男性、延髄前面巨大舌下神経鞘腫嚥下困難、四肢麻痺で発症しました。
術後患者さん