脊髄脂肪腫
脊髄脂肪腫は、潜在性二分脊椎の1つですが、発生原因は現時点ではわかっていません。
二分脊椎とは
お母さんのお腹の中で赤ちゃんの体ができる間に背骨の骨が癒合できず2つに分かれている病気です。二分脊椎には、色々な病気が含まれますが、脊髄脂肪腫もその1つです。MRI検査などで見ると、肛門の上のあたりに脂肪腫があり、脊髄神経と皮膚の間にくっついているように見えます。このため脊髄神経はよりお尻の方に引っ張られ、神経障害を引き起こすことになります。
症状
下肢の筋力低下・下半身の皮膚の知覚障害・足の変形・足の潰瘍(とこずれ)・膀胱直腸障害(大小便の失禁・夜尿症)などが出ることもあります。赤ちゃんは皆オムツを必要とするので症状がないように見える場合もあります。
しかし、これらの症状が出る前に赤ちゃんのお尻の皮膚の異常で病気を疑われて脊髄脂肪腫と診断されることが多いようです。なかには骨の形成異常を伴ったりするため、成長とともに側彎症になったりすることもありますが、水頭症などの脳の異常は伴わないことがほとんどです。
治療
手術を検討します。お薬での治療はありません。症状や画像、検査を検討して、手術が必要かどうかを検討します。
皮膚の症状のみで神経症状がない患者さんに手術をするかしないかはいろんな意見があります。手術をしないで経過を見た場合にいったん症状が出てしまうと手術をしても症状を改善することは難しいという問題もあります。
現時点では、画像と検査をもとにして手術をするかどうかを決めていきます。
治療時期
あわてて手術をする必要はありません。
病気がわかったのが生後6か月までの場合には、少し身体が大きくなるのを待って手術を計画します。すでに生後6か月より大きかったら、体調の良い時を選んで入院と手術の計画を立てましょう。可能なら生後1歳までには手術をしたいと考えます。それ以上に大きくなると組織が硬くなって手術がやりにくくなるからです。
全身麻酔で手術する場合の注意
幼児期は、ちょっとしたことで風邪をひきます。ゼコゼコしている時に全身麻酔で手術をすると、術後に肺炎や気管支炎になる危険性が高いので手術を行いません。入院予定日近くで風邪をひいた場合は、主治医にご連絡ください。風邪をひいたら、治った時点から2週間経ってからでないと手術ができません。