頸動脈狭窄
脳の血管の病気(脳卒中)には大別すると、脳の血管が詰まる場合(虚血性)と血管が切れる場合(出血性)があります。血管が詰まって生じる脳梗塞は脳卒中全体の約7割と発症率が大変高く、また半身麻痺や言語障害などの後遺症を残すので、恐れられています。重症なときは、命さえ奪います。脳梗塞とは脳に血液がいかなくなり細胞が死んでしまった状態です。
以前は、日本人は頭の中の血管が細くなって脳梗塞を起こすことが多いといわれていました。最近、日本人も食事が欧米化され、頚動脈が細くなり、そこに血液の固まり(血栓)ができて脳梗塞を起こす割合が増えています。軽度の場合には、薬物治療(内科治療)で十分です。狭窄の程度が強い場合には、薬物治療を行っても脳梗塞を起こす可能性が高く、外科治療が必要になります。
頸動脈狭窄に対する外科治療
治療の目的は脳梗塞の予防です。
頸部を切開する「頸動脈内膜はくり術」と切らない手術(カテーテル手術)である「頸動脈ステント留置術」があります。
頸動脈内膜はくり術
頸動脈が細くなっている原因(プラーク)を取り除き、血管を拡げます。
頸動脈を切り開いて、プラークを摘出しているところです。 |
【手術前】 | 【手術後】 |
手術後に、血管が拡がっているのがわかります。 |
頸動脈ステント留置術
プラークを血管の壁に押し込んで、血管を拡げます。
2008年4月に保険診療として認可された比較的新しい治療法です。
ステント(金属製のメッシュ状の筒)が入り、 血管が拡がっています。 |
精密検査の結果や患者さんの状態に応じて、「頸動脈内膜はくり術」か「頸動脈ステント留置術」どちらかの治療法を選択します。